2003年度業績

2003年度研究内容(2003年4月から2004年3月まで)

文科省科学研究費補助金基盤研究(A)(2)による「類人猿と人類の共生・共進化に関する社会生態学的研究」の最終年度に当たるため、これまでに収集した資料を分析して成果をまとめた。とくに、ゴリラとチンパンジーがどのように環境利用をしながら同所的に共存しているか。そこから人類進化のいかなる生態モデルを引き出せるかに焦点を当てた。
これらのまとめと今後の調査の発展を模索するために、ガボンとルワンダで短期間、ゴリラとチンパンジーの調査を行い、関係者と協議した。また、ガボンの科学技術調整局の局長Lucien OBAME教授を日本へ招へいし、日本アフリカ学会で貴重な情報交換を行った。京都大学21世紀COEプログラム(A14)「生物多様性研究の統合のための拠点形成」の一員として、ゴリラの生態・行動・社会の資料を地域間で比較し、その多様性を種内変異として以下に解釈できるについて検討した。本プログラムによる国際シンポジウム「African Great Apes: Evolution, Diversity and Conservation」を企画し、事務局長としてその開催に努力した。2004年度に開催される国際霊長類学会、2005年度に開かれる国際哺乳類学会にそれぞれシンポジウムを企画し、その組織的な準備を行った。これまで行ってきた研究会「人間性の起源と進化」の総まとめとして同名の書物を出版し、その編集に携わった。文庫本『オトコの進化論』を刊行。

2003年度の研究業績(2003年4月から2004年3月まで)

2003年度発行の論文

英文

  1. Hashimoto, C., Suzuki, S., Takenoshita, Y., Yamagiwa, J., Basabose, A.K. & Furuichi, T., 2003. How fruit abundance affects the chimpanzee party size: a
    comparison between four study sites. Primates, 44: 77-81.
  2. Nishimura, T., Okayasu, N., Hamada, Y. & Yamagiwa, J., 2003. A case report of a novel type of stick use by wild chimpanzees. Primates, 44: 199-201.
  3. Yamagiwa, J., Kahekwa, J. & Basabose, A.K., 2003. Intra-specific variation in social organization of gorillas: implications for their social evolution.
    Primates, 44: 359-369.
  4. Domingo-Roura, X, Marmi, J, Andres, O, Yamagiwa, J & Terradas, J, 2004. Genotyping from semen of wild Japanese macaques (Macaca fuscata). American Journal of Primatology, 62: 31-42.

和文

  1. 山極壽一・Basabose, AK, 2003. 異種の類人猿はどのようにして共存しているか:カフジ・ビエガ国立公園に同所的に生息するゴリラとチンパンジーの採食様式. 霊長類研究, 19: 3-15.

総説・報告・その他

  1. 山極壽一, 2003. 「成熟とは優雅に生きること」、読売新聞夕刊(5月1日)
  2. 山極壽一, 2003. 「食卓の進化論」、鷲田清一編著『<食>は病んでいるか』、ウェッジ、pp. 157-173.
  3. 山極壽一, 2003. 野生ゴリラ、同じ体験の少年と「出会う」、朝日小学生新聞、2003年5月25日(日).
  4. 山極壽一・重松清, 2003. 「かえりみる父親?-ゴリラ対ゴジラ」、WORD, 26:46-53.
  5. 山極壽一, 2003. エボラ出血熱で人間とゴリラが大量死. 理戦73: 96-105.
  6. 山極壽一, 2003. 『オトコの進化論-男らしさの起源を求めて』、ちくま新書.
  7. 山極壽一, 2003. 「人間は動物になれる―アフリカの昔話読んでごらん」、朝日小学生新聞7月20日(日).
  8. 山極壽一, 2003. 「ゴリラのエコ・ツーリズム」、古川彰・松田素二編『観光と環境の社会学』、新曜社、pp. 243-245.
  9. 山極壽一, 2003. 文化では語れない男の歴史. ちくま9(390): 14-15.
  10. 山極壽一, 2003. 「類人猿の共存とコミュニティの進化」、西田正規・北村光二・山極壽一編『人間性の起源と進化』、昭和堂、pp. 172-202.
  11. 山極壽一, 2003. ゴリラの子育て. 東山動物園友の会、No.70: 4-5.
  12. 山極壽一, 2003. 類人猿の眠りと人の眠り. (財)花王芸術・科学財団文理融合シンポジウム「社会の中の睡眠」、pp. 3-12, (財)花王芸術・科学財団.
  13. 山極壽一, 2003. 「内戦下の自然破壊と地域社会-中部アフリカにおける大型類人猿のブッシュミート取引とNGOの保護活動-」、池谷和信編『地球環境問題の人類学』、世界思想社、pp. 251-280.
  14. 松沢哲郎・山極壽一, 2003. 「ニホンザルのイモ洗い発見から50年」、エコソフィア, 12: 2-3.
  15. 河合雅雄・山極壽一・松沢哲郎、2003. 鼎談「霊長類「カルチャー」研究の源流をたどる」、エコソフィア, 12: 4-13.
  16. 山極壽一, 2003. 「鼎談を終えて」、エコソフィア, 12: 14.
  17. 山極壽一, 2003. 「家族における父親1.父という余分なもの」、人間学探究Vol.3,pp. 13-22、京都文教大学人間学研究所.
  18. 山極壽一, 2003. 「動物も顔で見わける」、朝日小学生新聞(11月9日).
  19. 浅香光代・山極壽一・糸井重里, 2004. 婦人公論井戸端会議「サルを知る」、婦人公論1月22日、1145: 148-153.
  20. 山極壽一, 2004. 「類人猿に学ぶ:身体で習得する平等社会」、朝日新聞、2004年1月17日朝刊.
  21. 山極壽一, 2004. 論考「隣人として「世界遺産種」に」、京都新聞、2004年2月20日朝刊.
  22. 山極壽一, 2004. 「考えたいサルの気持ち」、朝日小学生新聞(1月4日).
  23. 山極壽一, 2004. 「いきる日本の「知恵」」、朝日小学生新聞(2月29日).

学会およびシンポジウム、研究会での発表

  1. 山極壽一, 2003. 食卓の進化論. 京都大学人文科学研究所共同研究会「文明と言語」. 4月26日(三才学林).
  2. 山極壽一・竹ノ下祐二・A. Kanyunyi Basabose, 2003. 果実が不足する時期のゴリラとチンパンジーの採食と共存、第40回日本アフリカ学会学術大会、6月1日(島根大学).
  3. 竹ノ下祐二・田代靖子・松原直毅・山極壽一, 2003. ガボン・ムカラバ国立公園のゴリラの密度と分布、 第19回日本霊長類学会大会、6月29日(仙台市戦災復興記念館).
  4. 山極壽一・A. Kanyunyi Basabose, John Kahekwa, 2003. 内戦がヒガシローランドゴリラのポピュレーションに与えた影響について. 第19回日本霊長類学会大会、6月29日(仙台市戦災復興記念館).
  5. 竹中修・塚原由紀子・田中-上野寛子・丸橋珠樹・A. kanyunyi Basabose・山極壽一,2003. コンゴ民主共和国カフジ・ビエガ国立公園ゴリラの遺伝分析. 第19回日本霊長類学会大会、6月29日(仙台市戦災復興記念館).
  6. Yamagiwa J., 2003. On the origin of human family and human minds. Kyoto International Culture Forum “In quest of Kokoro/Human minds for this planet”. November 28-30 at Kyoto International Congress Center and Kyoto University (Kyoto).
  7. Yamagiwa, J. & Basabose A.K., 2004. Foraging strategies of gorillas and chimpanzees in the sympatric habitats: hints for socioecological features of early hominids. International Symposium supported by Kyoto University 21 COE Biodiversity Program (A 14) “African Great Apes: Evolution, Diversity and Conservation, March 3-5 , Kyodai Kaikan (Kyoto).
  8. Takenoshita, Y., Tashiro, Y. & Yamagiwa, J., 2004. Density estimate of Western gorillas by a new census method in the Moukalaba-Doudou National Park, Gabon. International Symposium supported by Kyoto University 21 COE Biodiversity Program (A 14) “African Great Apes: Evolution, Diversity and Conservation, March 3-5 , Kyodai Kaikan (Kyoto).
  9. 山極壽一, 2004. 霊長類の環境認知と社会性:種内変異と種間変異の比較から. 第33回ホミニゼーション研究会「かかわる」プログラム、3月12日 、京都大学霊長類研究所(犬山).