2004年度業績

科学研究費補助金(A)(2)による「アフリカ熱帯林における人類と類人猿の共存と社会進化を開始した。
ガボンのムカラバ国立公園へ11月から12月にかけて出張し、安藤智恵子、岩田有史とともにゴリラとチンパンジーの調査に従事した。コンゴ民主共和国からは研究分担者のバサボセ・カニュニを平成17年1月から3月にかけて日本へ招へいし、カフジ・ビエガ国立公園の類人猿の生態学的資料を共同で分析した。21世紀COE「生物多様性研究統合のための拠点形成」では分担者として類人猿の社会生態学的特徴の地域変異を分析するとともに、橋本千絵、竹ノ下祐二とともに、アフリカ熱帯林の3カ所で類人猿の食性に関する比較研究を行った。8月にドイツのマックス・プランク研究所で開かれた霊長類の採食生態に関するシンポジウムに出席し、ゴリラとチンパンジーの遊動について発表した。同月イタリアのトリノで開かれた第20回国際霊長類学会に出席し、竹ノ下祐二とともに企画した類人猿の同所性に関するシンポジウムを開催、カフジ・ビエガ国立公園に同所的に生息するゴリラとチンパンジーの採食戦略について発表した。

また、「類人猿の知性の進化」と題するシンポジウムでも類人猿の認知の進化に影響する社会生態要因について発表した。9月には早稲田大学で開かれた第1回子ども学会でゴリラの子どもと人間の子どもを比較して話をする機会を得た。10月に京都で開かれた京都文化会議では人間の成長と暴力の進化について、11月に長崎で開かれた第58回日本人類学会公開シンポジウムでは人間の共食の起源について話題を提供した。11月には京都で第7回サガ(アジア・アフリカの類人猿を支援する会)シンポジウムを開催し、世話人として「環境教育と動物園教育」のシンポジウム企画に携わった。自然保護をより広い視点から見直し、類人猿の保全を考えるいい機会になった。

2004年度発行の論文

英語論文

  1. Yamagiwa, J., 2003. On the origins of the human family: Comparison of great ape social organization. In: PRIMATES: ORIGIN, EVOLUTION AND BEHAVIOUR. HOMAGE TO JORDI SABATER PI. Vea JJ, Serrallonga J, Turbon D, Fullola JM, Serrat D, Edi tors. Barcelona: Parc Cientific. Pgs: 91-117.
  2. Yamagiwa, J., 2004. Diet and foraging of the great apes: ecological constraints on their social organizations and implications for their divergence. In: The Evolution of Thought: Evolutionary Origins of Great Ape Intelligence, A.E. Russon & D.R. Begun (eds.), Cambridge University Press, Cambridge, pp. 210-233.
  3. Yamagiwa, J., & Kahekwa, J., 2004. First observations of infanticides by a silverback in Kahuzi-Biega. Gorilla Journal, 29: 6-9

日本語論文

  1. 山極壽一, 2004. ヒガシローランドゴリラの現況と保護対策:カフジ・ビエガ国立公園での保護活動から. 霊長類研究, 20: 73-76.

その他

  1. 山極壽一, 2004. 「アフリカから人類と世界を見る発想を育てる:京都大学 大学院理学研究科生物学専攻人類学講座」、アフリカ研究, supplement: 26-27.
  2. 山極壽一, 2004. 「身体の世紀」、世界思想, 31: 40-43.
  3. 山極壽一, 2004. 「21世紀は身体の時代」、成熟社会の生き方をめぐる議論 2004「人と自然の関係を考える」、サントリー不易研究所
  4. 山極壽一, 2004. 「人間のコミュニケーションを見直す関西スクエア」、朝日21関西スクエア会報63: 3.
  5. 山極壽一, 2004. 「豊かな自然を敬いながら都市生活を謳歌する人々」、世界の動き、681(2004年6月号): 12-13.
  6. 山極壽一, 2004. 「生物の歴史をたどる」、朝日小学生新聞(4月24日)
  7. 山極壽一, 2004. 「人類の起源をめぐる新しい議論」、大航海, 51: 10-11.
  8. 山極壽一, 2004. 「類人猿に学ぶこころの起源」、『京都文化会議2003 地球化時代のこころを求めて』、京都文化会議組織委員会、pp. 85-87.
  9. 山極壽一, 2004. 「ゴリラに負けない「気迫」」、朝日小学生新聞(6月19日)
  10. 山極壽一, 2004. 「ドラミングの誤解」、潮音風声(読売新聞夕刊、7月1日)
  11. 山極壽一, 2004. 「父親という文化」、潮音風声(読売新聞夕刊、7月2日)
  12. 山極壽一, 2004. 「遊びのルール」、潮音風声(読売新聞夕刊、7月5日)
  13. 山極壽一, 2004. 「勝者つくらぬ闘い」、潮音風声(読売新聞夕刊、7月6日)
  14. 山極壽一, 2004. 「他種と共存する社会」、潮音風声(読売新聞夕刊、7月7日)
  15. 山極壽一, 2004. 類人猿のフィールド研究から分かること。国立科学博物館ニュース, 424: 5-6.
  16. 山極壽一, 2004. 衰える「探る能力」、朝日新聞夕刊(7月24日)
  17. 山極壽一, 2004. 住民の視点で考える野生動物との共存のあり方-中央アフリカの現場からー 野生生物保全論研究会会報, 38: 4-12.
  18. 山極壽一・新宮一成, 2004. 人類の起源と幼児期、特集「言語と人類の起源」、大航海, 52: 28-51.
  19. 山極壽一, 2004. 「五感と社会性」、第48回プリマーテス研究会「サルとヒトの感覚」セッション3コメント、平成15年度(財)日本モンキーセンター年報、pp. 33-34.
  20. 山極壽一, 2004. 「人間性と生物多様性を問い直す」、季刊民族学110: 73.
  21. 山極壽一, 2004. 「動物の目」でながめる. 朝日小学生新聞(8月14日)
  22. 山極壽一, 2004. ゴリラと友だちになれる. 朝日小学生新聞(11月27日)
  23. 山極壽一, 2004. 「言語の起源と人間性」、理, No. 2,3: 2-3.
  24. 山極壽一, 2004. 「おおきなひとのための「ぼくゴリラ」」、絵本のたのしみ、月刊「ちいさなかがくのとも」2005年1月号(34号)折り込み付録、福音館書店
  25. 山極壽一, 2005. 「霊長類の食生活と進化」、上野川修一・田之倉優編『食品の科学』、pp. 10-16、東京化学同人
  26. 山極壽一, 2005. 「子どもと暴力:ゴリラの子殺しに見る問題とその解決」、科学,75 (4): 411-422.

学会およびシンポジウム、研究会での発表

  1. 山極壽一, 2004. 「ゴリラの長期研究:研究と保護の両立をめざして」、第20回日本霊長類学会大会企画シンポジウム、今西・伊谷記念霊長類学講演「霊長類と保全生態学」、7月3日(犬山市、国際観光センターフロイデ)
  2. Yamagiwa, J., 2004. Habitat utilization by sympatric populations of gorillas and chimpanzees. International Conference on “Feeding Ecology in Apes and Other Primates”, August 17-19, at Max-Planck Institute (Leipzig)
  3. Yamagiwa, J. & Takenoshita, Y., 2004. Sympatric Apes: Socioecological divergence and evolution of great apes. XX Congress of the International Primatological Society, August 22-28 (Torino)
  4. Yamagiwa, J. & Basabose, A.K., 2004. Foraging strategies of eastern lowland gorillas in Kahuzi-Biega National Park. XX Congress of the International Primatological Society, August 22-28 (Torino)
  5. Yamagiwa, J., 2004. Great ape foraging strategies: socio-ecological factors promoting their cognitive evolution. XX Congress of the International Primatological Society, August 22-28 (Torino)
  6. 山極壽一, 2004. 「野生のゴリラと野生の子ども」、第1回日本子ども学会議特別講演、9月4日、早稲田大学国際会議場(東京)
  7. 山極壽一, 2004. 「成長と暴力の進化史」、京都文化会議2004、10月30日、京都大学環境学堂三才学林(京都市)
  8. 山極壽一, 2004. 「人類の進化と共食の起源」、第58回日本人類学会公開シンポジウム「咬むもの・咬まれるもの」、11月6日、長崎大学(長崎市)
  9. 山極壽一, 2004. 「同所的に生息するゴリラとチンパンジーに関する地域間比較」、第16回熱帯林霊長類研究会、11月8日、京都大学霊長類研究所(犬山市)
  10. 山極壽一, 2004. 「類人猿の特徴からヒトの多様性を探る」、第2回京都大学 理学研究科21世紀COEシンポジウム、12月11日、京都大学百周年時計台記念館(京都市)