2006年度業績

5月にOxford Brookes大学で行われた生物人類学と霊長類学のフィールドワークを考えるシンポジウムに出席、今西錦司に始まる京都大学の伝統について述べた。6月にウガンダ国のエンテベで開催された第21回国際霊長類学会では屋久島のフィールドワークについてPlenary lectureを行い、カフジのゴリラの遊動域の変動要因について研究成果を発表した。8月には第8回屋久島フィールドワーク講座で校長を務め、学生たちと交流。9月にはガボンのムカラバ国立公園でゴリラとチンパンジーの生態調査を実施し、11月には第60回日本人類学会、SAGA9に出席してそれぞれ人類の社会進化、動物園と自然保護について発表した。12月には京都大学霊長類研究所の共同利用研究会で霊長類の社会構造に影響を与える環境要因についてゴリラの例を引いて討論した。今年は屋久島についての本を2冊出版し、岩波の「ヒトの科学」シリーズの第1巻『ヒトはどのようにしてつくられたか』を編集した。霊長類学ばかりでなく、遺伝学、形態学、心理学、生態人類学など異なる分野の研究者といっしょに本を作り、なかなか考えることの多い年だった。人間の食についても栄養学の研究者と共著の本を出した。今後はもっと人間のことについて考察を深めていきたい。

論文

  1. Yamagiwa, J., 2006. Playful encounters: the development of homosexual behaviour in male mountain gorillas. In Homosexual Behaviour in Animals, Sommer, V. and Vasey, P.L. (eds.), Cambridge University Press, Cambridge, pp. 273-293.
  2. Yamagiwa, J. and Basabose, A.K., 2006. Effects of fruit scarcity on foraging strategies of sympatric gorillas and chimpanzees. In: Feeding Ecology in Apes and Other Primates: Ecological, Physiological and Behavioural Aspects, Hohmann, G.,Robbins, M.M. and Boesch, C. (eds.), Cambridge University Press, Cambridge, pp.73- 96.
  3. 山極壽一, 2006. 「ゴリラの人付け、人のゴリラ付け」、心理学評論, 49(3):403-413.

著書

  1. 山極壽一, 2006. 『サルと歩いた屋久島』、山と渓谷社
  2. 山極壽一, 2006. 『おとうさんゴリラは遊園地』、新日本出版社
  3. 山極壽一, 2006. 「「学びの島」歴史と未来」、大澤雅彦・田川日出夫・山極壽一編『世界遺産屋久島―亜熱帯の自然と生態系―』、朝倉書店
  4. 山極壽一, 2006. 「ゴリラのフィールド遺伝学」、竹中修企画、竹中晃子・渡邊邦夫・村山美穂編『遺伝子の窓から見た動物たち:フィールドと実験室をつないで』、京都大学学術出版会、pp. 267-280.
  5. 伏木亨・山極壽一, 2006. 『いま食べることを問う』、人間選書285、農文協
  6. 山極壽一, 2007. 編著『ヒトはどのようにしてつくられたか』、岩波書店

報告、その他

  1. 山極壽一, 2006. 野生生物の今を読む「映画『キングコング』」、野生生物保全論研究会会報, 44: 3.
  2. 浅香光代・山極壽一, 2006. 「サルを知る」、糸井重里編『続々と経験を盗め』、中央公論新社、pp. 92-110.
  3. 山極壽一 2006. 「心に残るヤクシマザル:西部の自然と青春」、屋久島ブック06,pp. 49. 山と渓谷社
  4. 松沢哲郎・山極壽一, 2006. 「類人猿から僕らは何を学んできたか? 青春編」、WORD, 59: 387-393.
  5. あべ弘士・山極壽一, 2006. 「ゴリラとあそんだよ」 おおきなポケット、171号(2006年6月号): 2-28.
  6. Yamagiwa J, 2006. Lessons of Dian Fossey and establishment of POPOF-Japan.Gorilla Journal, 32: 21-23.
  7. 山極壽一, 2006. 「町家とゴリラ」、日本経済新聞朝刊「あすへの話題」(7月4日)
  8. 山極壽一, 2006. 「大学都市を考える」、日本経済新聞朝刊「あすへの話題」(7月11日)
  9. 山極壽一, 2006. 「内戦の記憶」、日本経済新聞朝刊「あすへの話題」(7月18日)
  10. 山極壽一, 2006. 「二重生活のススメ」、日本経済新聞朝刊「あすへの話題」(7月25日)
  11. 山極壽一, 2006. 「野生のゴリラの真実と誤解」、野生生物保全論研究会会報, 46:10-13.
  12. 山極壽一, 2006. 「水遊び」、日本経済新聞朝刊「あすへの話題」(8月1日)
  13. 山極壽一, 2006. 「ゴリラの建前と本音」、日本経済新聞朝刊「あすへの話題」(8月8日)
  14. 山極壽一, 2006. 「個食と共食」、日本経済新聞朝刊「あすへの話題」(8月15日)
  15. 山極壽一, 2006. 「ある大統領の悩み」、日本経済新聞朝刊「あすへの話題」(8月22日)
  16. 山極壽一, 2006. 「フィールドワークを学ぶ」、日本経済新聞朝刊「あすへの話題」(9月5日)
  17. 山極壽一, 2006. 「裸足で森を知る」、日本経済新聞朝刊「あすへの話題」(9月12日)
  18. 山極壽一, 2006. 「生き物を見る」、日本経済新聞朝刊「あすへの話題」(9月19日)
  19. 山極壽一, 2006. 「思春期スパート」、日本経済新聞朝刊「あすへの話題」(9月26日)
  20. 山極壽一, 2006. 「ゴリラの育児と家族の起源」、第13回母乳育児シンポジウム記録集、pp. 24-43. 日本母乳の会
  21. 山極壽一, 2006.「霊長類の眠り、人間の眠り」、月刊みんぱく2006年10月号、p.4.
  22. 山極壽一, 2006. 「パントマイム」、日本経済新聞朝刊「あすへの話題」(10月3日)
  23. 山極壽一, 2006. 「闇の体験」、日本経済新聞朝刊「あすへの話題」(10月10日)
  24. 山極壽一, 2006. 「集団遍歴をする人間」、青淵, 692: 5-6.
  25. 山極壽一, 2006. 「体の手入れ」、日本経済新聞朝刊「あすへの話題」(10月17日)
  26. 山極壽一, 2006. 「記憶と風景」、日本経済新聞朝刊「あすへの話題」(10月24日)
  27. 山極壽一, 2006. 「自転車のタクシー」、日本経済新聞朝刊「あすへの話題」(10月31日)
  28. 山極壽一, 2006. 「酒を飲むゾウ」、日本経済新聞朝刊「あすへの話題」(11月7日)
  29. 山極壽一, 2006. 「人間らしいロボット」、日本経済新聞朝刊「あすへの話題」(11月14日)
  30. 山極壽一, 2006. 「下のしつけ」、日本経済新聞朝刊「あすへの話題」(11月21日)
  31. 山極壽一, 2006. 「マッチ1本の火」、日本経済新聞朝刊「あすへの話題」(11月28日)
  32. 山極壽一, 2006. 「味の会話」、日本経済新聞朝刊「あすへの話題」(12月5日)
  33. 山極壽一, 2006. 「猿まねと人まね」、日本経済新聞朝刊「あすへの話題」(12月12日)
  34. 山極壽一, 2006. 「霊長類学から見た人間の少子化」、月刊石垣, 26巻9号(319):22-23
  35. 山極壽一, 2006. 「お父さんはどんな存在」、子ども本, 33巻1号:53.
  36. 山極壽一, 2006. 「餌やりの心」、日本経済新聞朝刊「あすへの話題」(12月19日)
  37. 山極壽一, 2006. 「ゴリラの夫婦と人間の夫婦」、文藝春秋特別版「ああ、結婚!ああ、夫婦!」、文藝春秋2月臨時増刊、第85巻,2号, pp. 36-37.
  38. 山極壽一, 2006. 「巻頭言」、霊長類研究, 22: 83-84.
  39. 山極壽一, 2006. 「ゴリラの歌」、日本経済新聞朝刊「あすへの話題」(12月26日)
  40. 山極壽一, 2007. 「人間にとって旅とは何か」、まほら, 50, 1-7.
  41. 大澤真幸・野家啓一・山極壽一, 2007. 「いま、なぜ「ヒトの科学」か」、図書,694: 2-12.
  42. 山極壽一・坂田明, 2007. 「ヒトはなぜいじめるのか?」、公研, 522: 22-38.
  43. 山極壽一, 2007. 「あつれき問題の深層―ラーマン・スクマール博士と対談して―」、野生生物保全論研究会会報, 48: 11-13.
  44. 山極壽一, 2007. 「第8回フィールドワーク講座の概要」、第8回屋久島フィールドワーク講座報告書, pp. 1-3.
  45. 山極壽一, 2007. 「「校長先生」を担当して」、第8回屋久島フィールドワーク講座報告書, p. 78.
  46. 山極壽一, 2007. 「人類進化と多様性」、京都大学21世紀COEプログラム生物多様性研究の統合のための拠点形成Newsletter, 7. pp. 5-6.
  47. 山極壽一, 2007. 「平成18年度屋久島フィールドワーク講座」、京都大学21世紀COEプログラム生物多様性研究の統合のための拠点形成Newsletter, 7. pp. 48-51.

学会発表

  1. Yamagiwa J, 2006. Ecological anthropology and primatology: fieldwork practices and mutual benefits. International symposium on FIELDWORK: examiningits practice among biological anthropologists and primatologists, May 5-7,Oxford Brooks University (Oxford, U.K.)
  2. 山極壽一・安藤智恵子, 2006. 「ガボン共和国ムカラバ国立公園のゴリラの遊動パターン:山地林との比較」、第43回日本アフリカ学会学術大会、大阪大学(吹田市)、
    研究発表要旨集、pp. 77.
  3. Yamagiwa J, 2006. Plenary Talk: history and current scope of field studies on Japanese macaques on Yakushima Island, Japan. The 21st Congress of the International Primatological Society, June 27, Imperial Resort Beach Hotel (Entebbe,Uganda).
  4. Yamagiwa J, Basabose AK, Matsubara M, Sprague DS, Iwasaki N, 2006. Factors influencing ranging behavior of eastern lowland gorillas in the Kahuzi-Biega National Park, DRC. The 21st Congress of the International Primatological Society, June 28, Imperial Resort Beach Hotel (Entebbe, Uganda).
  5. Matsubara M, Yamagiwa J, Basabose AK, Sprague DS, Iwasaki N, 2006. Conflict of land-use between great apes and humans in Kahuzi-Biega National Park, DRC.
    The 21st Congress of the International Primatological Society, June 28, Imperial Resort Beach Hotel (Entebbe, Uganda).
  6. Ando C, Iwata Y, Takenoshita Y, Yamagiwa J, 2006. Diet and grouping of sympatric gorillas and chimpanzees in Moukalaba-Doudou National Park, Gabon.
    The 21st Congress of the International Primatological Society, June 28, Imperial Resort Beach Hotel (Entebbe, Uganda).
  7. Basabose AK, Yamagiwa J, Matsubara M, 2006. Foraging strategies of montane forest chimpanzees in Kahuzi-Biega national Park, democratic Republic of Congo.
    The 21st Congress of the International Primatological Society, June 26,Imperial Resort Beach Hotel (Entebbe, Uganda).
  8. 山極壽一, 2006. 「霊長類の資源をめぐる競合と社会性の進化」、民族自然史研究会10周年記念大会「資源をめぐる葛藤と協働―生物と人間それぞれの世界から」、10月28日、京大会館(京都市)
  9. 山極壽一, 2006. 「祖型人類の生態と社会:類人猿モデルの検証」、第60回日本人類学会大会、11月5日、高知工科大学(高知県香美市)
  10. 山極壽一, 2006. 「ヒトとロボットの進化の行く末」、第60回日本人類学会大会シンポジウム「ヒトの進化とロボットの進化、その行く末を探る」パネリスト、11月3日、高知工科大学(高知県香美市)
  11. 山極壽一, 2006. 「野生の窓としての動物園」、第9回SAGAシンポジウム、11月11日、名古屋大学(名古屋市)
  12. 山極壽一, 2006. 「環境の違いはゴリラの生態と社会にどのような影響を与えているか:ヴィルンガとカフジの比較から」、京都大学霊長類研究所共同利用研究会「異なる環境における霊長類の生態と行動の比較」、12月16日、京都大学霊長類研究所(犬山市)

特別講義・講演

  1. 山極壽一, 2006. 「キングコングとゴリラはどこが違うのか」、モンキーカレッジ、5月21日、日本モンキーセンター(犬山市)
  2. 山極壽一, 2006. 「野生のゴリラの真実と誤解」、JWCS 2006 シンポジウム、6月17日、ヤマザキ専門学校(東京、渋谷)
  3. 山極壽一, 2006. 「ビチブさんと30年前のゴリラたち」、6月18日、ポポフ展、堺町画廊(京都市)
  4. 山極壽一, 2006. 「食の進化論:ヒトはなぜ食卓をもつようになったのか」、北九州市立大学「人間活動と環境」特別講演、7月21日、北九州市立大学(北九州市)
  5. 山極壽一, 2006. 「家族の起源」、第50回暁天講座、8月1日、智積院(京都市)
  6. 山極壽一, 2006. 「ゴリラの保護活動:霊長類学と人類学の間で」、環境省自然環境局「人と自然研究会」、8月4日、飯野ビル(東京都)
  7. 山極壽一, 2006. 「霊長類学のフィールドワーク:サルの目を通して見た自然」、名古屋大学21世紀シンポジウム「自然に学ぶものづくりの新展開」、8月16日、名古屋大学野依記念学術交流館(名古屋市)
  8. 山極壽一, 2006. 「ゴリラが絵本を読んだら…」、特別企画「アフリカと友だちになろう」8月30日、東近江市八日市図書館(東近江市)
  9. 山極壽一, 2006. 「音楽の起源:言語以前のコミュニケーション」、人文研「文明と言語」研究会、10月14日、京都大学三才学林(京都市)
  10. 山極壽一, 2006 「ゴリラのコミュニケーション」、第29回鶴鴨会、10月26日佳久(京都市)
  11. 山極壽一, 2006. 「ゴリラと社会」、奈良女子大学付属中学校SSHサイエンス基礎講座2,11月17日、奈良女子大学(奈良市)
  12. 山極壽一, 2006. 「類人猿を調査する:自然科学と社会科学をつなぐ試み」、関西学院大学大学院社会学研究科21世紀COE特別研究I「調査」、11月18日、関西学院大学梅田キャンパス(大阪市)
  13. 山極壽一, 2006. 「地球で今、起きていること:われらが隣人たちの危機」、なごや子ども環境会議基調提案、なごや子ども環境会議、12月26日、ウィルあいち(名古屋市)
  14. 山極壽一・平田オリザ・本間直樹, 2007. 「知デリ」、3月10日、アップルストア銀座(東京)